NaCIO3

夜の波をこえてゆくよ

あげくの果てのカノン

とんでもない漫画を読んでしまいました。

 

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米代恭さんの『あげくの果てのカノン

2016年6月に1巻が発売されていて、2018年6月に完結。全5巻なので集めやすいし読みやすい!

ほんとうにとにかくすごいヤバいので途中までネタバレしないようにそのすごさを、独り言のように書かせてください……

 

 

 

「叶わない 恋 漫画」とかで検索をしていたら出てきたのかな?たぶん。

あげくの果てのカノン』っていうタイトルの時点で、5億点だな!って思った。語感のよさに驚いた。(そして最後まで読むとこのタイトルがあまりにもふさわしすぎて二度驚かされる)

あらすじを読んだら「不倫SF」って称されてて、正直SF系は全然好きじゃないからその要素いらないなー、でも昼顔しかりホリデイラブしかり不倫モノ大好きだから黙ってらんないな・・・という思いで1巻購入。

 

 

1巻自体はそんなに面白いわけでもなく、ちょっと日を空けたのち、「でもここからどうなるんだ?」の思いで結局手にした2巻からの展開に心わしづかみにされて、次の日3・4・5巻と買ってしまうやつやりました。

1巻の裏表紙のキャッチコピー的なところに『ストーカー気質 メンヘラ女子の恋の爆発』って書いてあって、ストーカーだとかメンヘラだとか、安っぽい言葉に騙されて読み始めちゃったら大火傷するよこんなん!!!!!!!!!!!!ってくらい私の中では衝撃で最低で最強でした。

押見修造さんの『惡の華』を読んだ時くらいの衝撃が思い出された…(あ、話が類似しているとかではないです。)

 

 

と、ここまで書いたら、仲の良い人は(=私がどれだけ惡の華が好きか知っている人は)、読みたくなったのではないでしょうか?!(突然のクソサイト口調)

 

実際に、五人くらいで輪になって、その真ん中に『あげくの果てのカノン』を置いて感想などをただただ喋る会をやりたいなってくらい人と感想共有したくなる系漫画な気がする。

だから本当に読んでほしい、近しい人よ・・・

 

読み終えた瞬間は、家を飛び出し走り出したかったんだけど、夜だし雨降ってるしで、仕方なくパソコン開いて「あげくの果てのカノン 感想」というキーボードをすごい勢いで打ってしまった。(ネットで感想調べるのはどの作品でも大体やってしまうことだけど)

 

 

私にとってはハッピーエンドだなって感じて、でも、バットエンドだ、なんだこの終わり方は(怒)、同じくハッピーエンドだと感じた人、それぞれ解釈があって超面白い。

 

 

ざっくり言うと、主人公のかのんには8年間好きでい続けている先輩・宗介がいる。そして宗介には奥さんがいる。

その宗介という人は、異星生物対策委員会(SLC)の特攻部隊として、エイリアン的なものと戦っている。戦いに敗れて傷を負っても、修繕で生き返ることはできるけど、その修繕で性格だとか、好きなものが変わってしまう――的な。(説明が下手なので気になった方は公式サイトとか読んで下さい)(突然突き放す)

 

冒頭でも言ったけどSF苦手だからSF部分がどうのこうの…ということにはあまり興味が無く、ただただかのんの狂気的で純粋な恋に心撃たれた。

 

先輩の使用済みのものを保管していたり、録音した先輩の声を聴いたり、先輩の歴代の彼女の写真とかをまとめていたり。

一度振られているうえに相手には奥さんがいるのにずっと好きな姿が最高だったな。

 

しかもかのんの恋は希望を見てはいけないものだし、何より宗介が「正真正銘のクソ男」なので(修繕のせいもあるけれどヤツは根っからのクソオブクソだ、でも全然憎めない…)

そんな「叶わない・叶えてはいけない恋」を5巻分疾走させてくれたのはまさに求めていた物語だったなー、の気持ち。

 

8年間も同じ人を好きでいた経験ある人なんてそうそういないと思うけど、叶うはずない恋だとか、クソ男に恋をしてしまってその人の反応にいちいち一喜一憂したりだとかしたことある人は共感を感じながら楽しめると思うし、逆にかのんのキャラが一瞬でも無理と感じた人は読めないんじゃないかなとも思う、かのんの一途すぎる物語だから・・・

 

 

 

※以下ちょっとネタバレてるかもです

 

2巻で心持ってかれた理由は、血の繋がっていない弟・ヒロのかのんへ対する想いが介入してきたから!!です!!!!!

ヒロ目線でこの作品を読むのもまた辛いものがあるという醍醐味。

 

あと、不倫モノってどうしてもしてる側を描くのでそっちを美化しがちだけど、宗介の妻・初穂さんの気持ちも上手く描かれていてすごいなと思った。悪者にしない。特にラストの戦闘シーンの、かのんには絶対に果たせない2人の姿は苦しくなってしまった。

 

個人的ピークは4巻で登場する松木平くんです。はい、私が好きそ~なキャラ~~!!

屋上のタバコのシーンが好きだった。ここで松木平くんに寝返る展開もアリっちゃアリだったけど(となるとかのんがクソすぎるが、松木平くんみたいな人と幸せになってほしさもあるよね)、そうはならなかったことに心震えた。

 

ヒロ・松木平くんのキャラが良かったので、不遇な扱いだったことに対していつもの自分ならなんでよ(怒)って感じだったと思うけど、これは「先輩しか見えていないかのんの物語」なので逆にそこを貫き通してくれてて、最高がゆるがなかった!!

 

5巻の「人生のすべてだった初恋が終わった。」のシーンで号泣するかのんが特に切なすぎて、他にも心臓握りつぶされるシーンがたくさんあって何度も泣きそうになりました、ね・・・。

 

 

 

4巻の帯、尾崎世界観からのコメントがあったことに後から気付いて笑っちゃった。えーーー最高じゃん。知るの遅すぎ。

というかこの漫画知るの遅すぎるけどこのタイミングで読めて良かったー!!